「盗撮は女性の性的尊厳を著しく傷つける行為である」(世耕弘成参院議員、本紙五月十七日付「がんばってます」より抜粋)―。
盗撮防止法の要綱案では、@住居・浴場・更衣室などで人が衣服をつけていない状態A人のしゅう恥心を害する体の部分や下着―を正当な理由なく撮影すること を、「性的盗撮」として禁じた。性的盗撮写真については、販売だけでなくインターネット回線を通じた提供も禁止。提供目的の所持も禁じている。罰則を「懲 役二年以下または罰金二百万円以下」とし、厳罰による抑止効果を狙う。その意味では法案制定の意義は大きいが、インターネットサーバーを海外へ置けば新法 の適用から免れるという欠点もあり、今後見直されるべき課題も残る。
また駅、百貨店、公衆浴場、電車、バスなど不特定多数の人が出入りする場所や乗り物の管理者には、盗撮防止の努力義務を課した。
和歌山県近郊の盗撮問題に詳しい平松総合調査事務所の平松直哉代表は「法案制定を機に、“癒しの空間”を売り物とする公衆浴場などの企業は、客商売として の原点に返って“安心”を提供するために必要な対策を講ずるべき。これまでの盗撮被害の事実を認め、まず謝罪をした上で“自社ではこういう具体的な対策を 取っているので安心ですよ”と全面にアピールする姿勢が大事だ」と“努力義務”に対する各企業の真摯(しんし)な対応を期待するとともに、厳しい監視の目 を光らせる。
企業側の具体的な対策として、荷物チェックを行う▽入浴に不要なものを預かる保管庫を用意する▽シャンプーやリンスを常備し、「お風呂セット」を持ち込む 必要性をなくす▽手口や実態を追究し盗撮防止対策をマニュアル化する―などを提言。「有田市にある温泉では脱衣場に従業員が常駐し、お年寄りなどのご用聞 きをしている。盗撮されにくい環境作りにも役立っており、良い例だ」と平松代表は評価する。新法が整備されても、厳罰による抑止力や企業努力だけに頼るの は得策ではなく、利用者の防衛意識の有無が最も大切。二次被害を防ぐためにも次の点に注意が必要だ。▽必要最低限の手荷物で入浴する▽混雑時を避ける▽短 時間で着替えを済ませてフロアーでくつろぐ▽脱衣場内で長時間くつろいでいる人や不必要にかばんを触っている人、長時間放置しているものなどに気付いたら 店員に知らせる▽入浴中に人の後を追う人があれば注意する▽トイレ入室後に水洗タンク下、ペーパーホルダー下、掃除具、芳香剤、汚物入れなどに穴が開いて いないかなどを点検する▽街中のホテルや改装後のホテル、人気のあるホテルは盗撮の恐れがあるので、ベッドを取り巻くAV機器や観葉植物など最低限の盗撮 チェックを行う―。
これまで盗撮防止法制定を考える会として活動を続けてきた平松代表は現在、被害者対策に乗り出そうと、NPO法人全国盗撮犯罪被害対策室の立ち上げ準備を 進めている。「利用者も企業も、まずは敵をよく知ること。その脅威や手口に対する正しい認識が、結局は被害の拡大に歯止めをかけることにつながる」と、平 松代表は警鐘を鳴らし続ける。 (おわり) 【この連載は前川剛が担当しました】 |