盗撮は、女性を生涯苦しめる犯罪行為です。
日々激化する盗撮事件報道
盗撮を取り締まる現状と盗撮防止法の必要性
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■ 盗撮に狙われる日常 上 2005/7/21
 
  も しもあなたの日常の一コマが盗撮されていて、その姿がインターネットやDVDを通じて衆目にさらされているとしたら。ましてやそれが公衆浴場での入浴シー ンだとしたら―。六月上旬、自民党の盗撮防止法ワーキングチーム(事務局長・世耕弘成参院議員)が法制化を進めてきた「盗撮防止法案」が参院を通過、年内 にも施行される運びとなった。性的盗撮や盗撮写真の提供・販売を禁止し、違反者に懲役二年以下または罰金二百万円以下の罰則を科す内容だが、なぜ今、県選 出の世耕議員が同法案の法制化にこだわるのか。そこには「盗撮スタジオ和歌山県」と呼ばれる県内の目を覆いたくなるような悲惨な現実が色濃く反映されてい るという。

平松総合調査事務所(平松直哉代表)の協力を得て、県内の盗撮事情と対策を三回にわたって連載する。
平成十三年から四年間、私立探偵として和歌山県近郊の盗撮問題と向き合ってきた平松代表の調べでは、県内のクアハウス(四件)や温泉施設(四件)、銭湯 (1件)などの脱衣場・浴室内、海水浴場の仮設トイレやシャワールーム(一件)、観光ホテルのトイレ(一件)などで盗撮されたビデオの数は、確認されてい るだけでも一千本を超え、すべて和歌山県をはじめ全国の市場で流通している。その被害者数は数万人に上るという。
業者や販売元は違えども、撮影場所は同じで、「和歌山県が狙い打ちされている。私が“盗撮スタジオ和歌山県”と呼ぶゆえんです。県警の怠慢や行政の弱腰、企業の責任感の低さが盗撮業者を和歌山県へ寄せ付けている」と平松代表は語気を強める。
現在、盗撮自体を罰する法律はなく、軽犯罪法か各都道府県の迷惑防止条例違反に問うことしかできない。警察庁によると、盗撮行為での検挙数は建造物侵入と して処理した例を除けば、昨年一年間で計一千八百九十二件に上る。しかし、盗撮を摘発できる条例を持っているのは全国で八都府県だけ。罰則もバラバラで、 罰金一万円程度で済む県から懲役刑のある県まで幅が広く、全国一律的に十分な取り締まりが行われていないのが現状だ。 

■ 盗撮に狙われる日常 中 2005/7/22
 
 女性の敵は女性―。大阪府警は平成十四年十月九日、和歌山市内の男女を建造物侵入容疑で逮捕した。調べでは、 男女は共謀して、公衆浴場の脱衣場で盗撮したビデオを販売しようと計画。女が盗撮目的で大阪府内の公衆浴場に客を装って入り込んだ疑い(朝日新聞から抜 粋)。二人は一昨年前から同府内や和歌山県内の公衆浴場で盗撮をはじめ、同ビデオで約九千万円の利益を上げたという。
携帯電話のカメラ機能の向上に伴い、駅や階段などで女性のスカートの中を携帯電話で盗撮する幼稚な犯罪が増えている。一方、超小型・高性能・高画質の CCDカメラが量産化され、少しの知識さえあれば、だれでもトイレや公衆浴場での盗撮が可能になったといわれる。防犯目的で開発された文明の利器を有効活 用するか否か。残念ながら現在のところは、各人の良心に寄るところが大きい。
超小型化カメラは芳香剤やラジカセ、ビデオテープ、ヘアートリートメントチューブなど今やどんなものにでも潜ませることができ、被害者がカメラの存在に気 がつくことはまずない。たとえばシャンプーやトリートメント、タオルなどを入れた「お風呂セット」に無線式カメラを潜ませ、女性が客を装い脱衣場や浴室を 歩くとする。その間、誰にも気付かれることなく共謀者が屋外の駐車場で電波を拾い録画する、というのも手口の一例だ。もちろん有線式カメラでの犯行もあ る。また海水浴場に八百万円もかけて仮説トイレを設置し、さまざまな角度から盗撮するという大がかりな例も実際に和歌山市内であったという。
公衆浴場での盗撮がほぼ常態化し、市場には数え切れないほどの“盗撮もの”のDVDがあふれている。ではなぜ一向に盗撮被害に遭ったと訴える女性が出てこ ないのだろうか。答えはその商品の特殊性にある。浴場盗撮ビデオは女性にとって見慣れた光景であり、大金を払ってまで見る機会は極端に少ない。また例えビ デオを見ていた男性が、映像の中に知人の女性を見つけたとしても、そのことを本人には言いにくいという状況があるのも遠因の一つだろう。

 

■ 盗撮に狙われる日常 下 2005/7/23
 


「盗撮は女性の性的尊厳を著しく傷つける行為である」(世耕弘成参院議員、本紙五月十七日付「がんばってます」より抜粋)―。
盗撮防止法の要綱案では、@住居・浴場・更衣室などで人が衣服をつけていない状態A人のしゅう恥心を害する体の部分や下着―を正当な理由なく撮影すること を、「性的盗撮」として禁じた。性的盗撮写真については、販売だけでなくインターネット回線を通じた提供も禁止。提供目的の所持も禁じている。罰則を「懲 役二年以下または罰金二百万円以下」とし、厳罰による抑止効果を狙う。その意味では法案制定の意義は大きいが、インターネットサーバーを海外へ置けば新法 の適用から免れるという欠点もあり、今後見直されるべき課題も残る。

また駅、百貨店、公衆浴場、電車、バスなど不特定多数の人が出入りする場所や乗り物の管理者には、盗撮防止の努力義務を課した。
和歌山県近郊の盗撮問題に詳しい平松総合調査事務所の平松直哉代表は「法案制定を機に、“癒しの空間”を売り物とする公衆浴場などの企業は、客商売として の原点に返って“安心”を提供するために必要な対策を講ずるべき。これまでの盗撮被害の事実を認め、まず謝罪をした上で“自社ではこういう具体的な対策を 取っているので安心ですよ”と全面にアピールする姿勢が大事だ」と“努力義務”に対する各企業の真摯(しんし)な対応を期待するとともに、厳しい監視の目 を光らせる。
企業側の具体的な対策として、荷物チェックを行う▽入浴に不要なものを預かる保管庫を用意する▽シャンプーやリンスを常備し、「お風呂セット」を持ち込む 必要性をなくす▽手口や実態を追究し盗撮防止対策をマニュアル化する―などを提言。「有田市にある温泉では脱衣場に従業員が常駐し、お年寄りなどのご用聞 きをしている。盗撮されにくい環境作りにも役立っており、良い例だ」と平松代表は評価する。新法が整備されても、厳罰による抑止力や企業努力だけに頼るの は得策ではなく、利用者の防衛意識の有無が最も大切。二次被害を防ぐためにも次の点に注意が必要だ。▽必要最低限の手荷物で入浴する▽混雑時を避ける▽短 時間で着替えを済ませてフロアーでくつろぐ▽脱衣場内で長時間くつろいでいる人や不必要にかばんを触っている人、長時間放置しているものなどに気付いたら 店員に知らせる▽入浴中に人の後を追う人があれば注意する▽トイレ入室後に水洗タンク下、ペーパーホルダー下、掃除具、芳香剤、汚物入れなどに穴が開いて いないかなどを点検する▽街中のホテルや改装後のホテル、人気のあるホテルは盗撮の恐れがあるので、ベッドを取り巻くAV機器や観葉植物など最低限の盗撮 チェックを行う―。
これまで盗撮防止法制定を考える会として活動を続けてきた平松代表は現在、被害者対策に乗り出そうと、NPO法人全国盗撮犯罪被害対策室の立ち上げ準備を 進めている。「利用者も企業も、まずは敵をよく知ること。その脅威や手口に対する正しい認識が、結局は被害の拡大に歯止めをかけることにつながる」と、平 松代表は警鐘を鳴らし続ける。 (おわり) 【この連載は前川剛が担当しました】



 しんぽう秒
21日付紙面から連日、盗撮犯に狙われる日常と題して県内の盗撮事情についてつづっている(全3回)。正直言って記者自身、このテーマを扱うまでは盗 撮の脅威について深く考える機会を持たなかった。取材を進めるうちに、盗撮犯に直接狙われる危険性の高い女性もまた同問題を他人事として都合よく解釈して いることを知った。
自分は大丈夫という根拠のない自身に頼らず、自営意識を持つことが大切。
盗撮に使われる赤外線は肉眼では見えないが、機器を通せばよく見える。たとえば、カメラ機能を起動した携帯電話の画面には、赤外線が映るため、室内に隠された小型カメラを探すのに役立つ。どうだろう知ることの大切さが分かったのではないか。

数 万人といわれる被害者の数は、あくまで少なくともという意味。実際には、延べ人数で和歌山市の全女性(約二十万人)を上回るとも。温泉施設などの経営 者は、この事実をどの様に捉えているのだろうか。公衆浴場を営むものとして盗撮ビデオの存在を知らないなどの言い訳は許されない。重要な危機管理の一 つである。
(剛)





非営利活動団体 全国盗撮犯罪防止ネットワーク
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tel:073-474-0088 mail:higai110@gmail.com